古代マヤ人の知恵
見えないものを引き受けること
「暦と共に生きる」ことは、森と共に生きた古代マヤ人の「体験・体感・経験からの教え」と、自身の「学び」と「時」とがシンクロを起こし、自身が気づきを得ることで化学反応を起こし、自分の中のもう一人の自分が目覚め、働きだし体感できるのである。
マヤの暦の中に隠された宇宙観は、見えないものを映し出す神秘性もあり、且つ、自分の視座を広げることで、凝り固まった自分の外身と内なるもう一人の自分とを再び融合させて共存させていくような、そんな宇宙観がある。
マヤ曼荼羅生命樹
天空の地図のなかにある森
―生命樹は暦の中にあるー
空を見上げると満天の星があり、それは「天空の地図」のように見える。
古代マヤ暦の中にもそれと同じように、
入れ籠の中に隠れた「マヤユニバース宇宙」が広がり、
その中に、自分の森がある。
そして、その森の中に立つ一本の樹。
それが自分を構成する生命の樹。「マヤ曼荼羅生命樹」である。
「マヤ曼荼羅生命樹」は、自分というマトリョーシカの中に育っていく。
自然の摂理
森の思考から循環を生む
人は一本の樹であり、それらの樹が集まり森をつくる。
立派な樹になるには、あふれる太陽、汚染のない水、そして肥沃な土壌が必要である。
森は恵みをもたらすが、危険も多い。
雨ニモマケズ、風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
(宮沢賢治 「雨ニモマケズ」 引用)
経験し、体感し、自ら考え、創造し、知識を得て自分の糧とし、成長する。
豊かな土壌となった肥沃の土地に、力強く根を張る。
その根は、地下深くまで突き進み、澄んだ水を吸い上げ、道管を通り細胞の隅々まで行き渡らせる。
そんな生命力あふれた樹が集まり、森ができる。
そして、その森は酸素たっぷりの空気に満たされ、水や土はさらに浄化され
森に生きるモノは共存し、そして循環が始まる。
森の循環は、やがては地球全体の循環を整えていく
すなわち、「自然の摂理」
どのような『樹』に育つのかは、どのような環境で、どのような経験をし体感し、学び、乗り越え森を生き抜くための智恵を授かったか。
「自然の摂理に従う」ことは、「時の循環」に身を委ねることも
古代マヤ暦はおしえてくれる
「ポポル・ブフ」のシバルバーのアンダーワールドの中で
目を凝らし、光を見つける術を受け継いだか?
「チラム・バラム」の先人たちの、時の循環からの学びと助言に耳をすましたか?
その智恵はしっかりと受け継がれ、伝承されてきたのか。
暦の中で、時は流れスパイラルに回転しながら循環する。
全てのものは、スベテノモノと共存しながら、この循環の中に存在する。
太古の昔から変わることなく繰り返されている、この循環の教えは
維管束となって脈々と受け継がれて、ヒトを育てていく。
次の世代へ伝承していくことが、教え育むことである。
古代マヤ人は、『古代マヤ暦』の中に織り込み
「暦と共に生きる」術を後世に継承した。
彼らが見上げた、古代の空と同じ宇宙を見上げ、
「天の地図」を手にした時、暦と共に生きる術を知り、
自身の中のもう一人の自分が目覚め、働きだし、森の循環が始まるのである。
私は、それらを継承する担い手でありたいと思う。